『新クトゥルフ神話TRPG』シナリオ「赤い窓」をやってみた！ パート1 探索者を創造してみた！
TRPG未経験だった「深キン」。前回『1/10スケール』でTRPGの遊び方がわかったところで、簡易ルール『クイックスタート・ルール』に挑戦！ まずはキーパー1人とプレイヤー1人の2人だけで遊べるシナリオ「赤い窓」をやってみました！
テキスト：深キン（ふかきん）with アーカム・メンバーズ（七峰きざし）
イラスト：海野なまこ
（深キン）この公式サイトからダウンロードできる『新クトゥルフ神話TRPG クイックスタート・ルール』って知ってますか？ 無料でダウンロードできて、探索者（キャラクター）の作成や、簡単なプレイに必要な基本のルールが書かれているルールブックがあるんですよ。
今日は友達のグゥちゃんを呼んで、この『クイックスタート・ルール』を使って遊んでみます！
使うシナリオは、これも無料でダウンロードできる「赤い窓」です！ キーパー1人とプレイヤー1人の2人だけで遊べる、初心者キーパーにやさしいシナリオです！
ピンポーン
（グゥちゃん）深キンちゃん、来たよー！
（深キン）いらっしゃい！ 今ちょうど『クイックスタート・ルール』を読んでいたところです！
（グゥちゃん）わー、ありがとうー！ 今日は一緒にルールを読みながらやっていこう！
（深キン）そうですね！ あ、お菓子も用意しておきました！
（グゥちゃん）やったー！ たくさん食べるぞ～！
準備万端！
深キンはグゥちゃんを自分の部屋に案内した。そこには少し大きめのリビングテーブルと、ふかふかの座布団が準備されている。テーブルの上にはダイス、筆記用具、印刷した『クイックスタート・ルール』と探索者シート、そしてたくさんのお菓子とジュースが置かれている！
（深キン）さぁ、どうぞどうぞ～。
（グゥちゃん）お菓子にジュース！ それにダイスも用意してくれたんだね。助かるよ～！
（深キン）これだけ用意しておけばゲームはできそうかな？
（グゥちゃん）どうだろう？ 足りなければ買いに行けばいいよ～。
（深キン）それじゃあ、さっそく探索者を作ってみますか！
（グゥちゃん）えっと、ごめん。実は僕、今日初めて“クトゥルフ神話TRPG”で遊ぶんだ……。これってどんなゲームなの？
（深キン）おっと、すみません！ そこから説明しますね！ えっと、確か『クイックスタート・ルール』4ページに書いていたはず……これです！
『新クトゥルフ神話TRPG』とは（抜粋）
『新クトゥルフ神話TRPG』は、ごく普通の人々がクトゥルフ神話の恐るべき異界の力に立ち向かう、神秘と恐怖のロールプレイングゲームである。揺るぎない心を持つ探索者となり、チームとなって協力して、奇妙で危険な場所へと旅し、汚らわしい陰謀を見つけ出し、夜中に徘徊（はいかい）する怪物に立ち向かう。 途中、探索者は正気を打ち砕く時空を超えた存在、ぞっとするような怪物、そして狂気に陥ったカルティストと遭遇するだろう。また、伝承を収めた奇妙で知られざる魔道書の中に、探索者は人類が知るべきでなかった秘密を見いだすだろう。これらごく普通の人間は、多くの手ごわい課題に直面することになる。しかしそんな人々が英雄的に立ち向かって、世界の運命を決めてしまう可能性すらあるのだ。
（グゥちゃん）怪物やカルティストに立ち向かう、ホラーゲームなんだね！ 人類の知らない秘密……わくわくしてきた！
（深キン）とても楽しそうですよね！ 好奇心旺盛な探索者で、どんどん物語に入り込んでいきたいです！
（グゥちゃん）ちなみに、さっきから言ってる「探索者」っていうのは何なの？
（深キン）ふふふ、それも『クイックスタート・ルール』4ページにしっかり書いてますね！
探索者（抜粋）
探索者は怪物、謎、そしてクトゥルフ神話の秘密を探し求め、理解し、最後にはそれらに立ち向かおうとする。探索者が遭遇する物語は、彼らに試練を与えるように書かれている。探索者はけがをしたり、正気度を打ち砕かれるような体験をしたり、あるいは怪物に食われることすらあるだろう。ゲームが進むにつれて、探索者は奇妙な魔術や恐るべき異界の怪物について知り、忘れ去られた伝承が記された秘密の本から特別な知識を得ていく。
（グゥちゃん）なるほど、探索者はプレイヤーが操るキャラクターなんだね！ 説明の時点でひどい目に遭うことが運命づけられているというか……。
（深キン）そうですね……探索者というのは過酷なもののようです。ちなみに、私がやるのは「キーパー」です！
キーパー（抜粋）
キーパーの役割は、ほかのプレイヤーのためにゲームを進行させることである。キーパーは物語の筋書きや今の状況をほかのプレイヤーに説明する。そしてルールとダイスを使って、キャラクターの行動の成否を判定し、探索者を劇的で危険な状況へと駆り立てるのである。
（深キン）ゲームの進行役の「キーパー」と、シナリオに立ち向かっていく「探索者」で役割が分かれているということですね！
（グゥちゃん）よくわかったよ！ じゃあ、さっそく探索者を作るぞー！
レッツ・キャラクターメイク！
（深キン）じゃあ探索者を作るところからやっていきます！『クイックスタート・ルール』7ページ「探索者の創造」を読みながら進めていきましょう。
（グゥちゃん）作るための手順が5ステップあるんだね！ なかなか手ごたえがありそうだ……。
（深キン）今回遊ぶのは「赤い窓」というシナリオで、現代の日本を舞台にしています。えっと、シナリオには「赤い窓」で遊ぶ探索者を作るにあたって、「探索者の会いたい人」を考えるようにと書いていますね。
（グゥちゃん）会いたい人もかぁ。ちゃんと作れるかなぁ。
（深キン）一項目ずつこなしていけば大丈夫ですかね？ まずは「ステップ1：探索者の能力値」からやっていきましょう！
ステップ1：探索者の能力値
新クトゥルフ神話TRPGには8つの能力値がある。それぞれ、STR（筋力）、CON（体力）、SIZ（体格）、DEX（敏捷性）、APP（外見）、INT（知性）、POW（精神力）、EDU（教育）だ。『クイックスタート・ルール』ではこれらの能力値に、決められた数字を好きなように割り当てることになっている。
（深キン）グゥちゃんはどんな探索者を作るんですか？
（グゥちゃん）そうだなぁ、敏腕の銀行マンとかにしたいな！
（深キン）いいですね！ 能力値はどう割り振りましょうか？
（グゥちゃん）そうだなぁ……まず、剣道を習っていたからSTRが高くて80！ 銀行マンは体力もないとね。CONも80くらいで、とっさの機転が利くからINTは90かな。大銀行に入るには教養も必要だからEDUは90で……。
（深キン）ちょ、ちょっとまってください！『クイックスタート・ルール』では8つの能力値に「40、50、50、50、60、60、70、80」を割り当てることになっています！
（グゥちゃん）ありゃりゃ……だったらこれは無理か……。
（深キン）現実世界と同じで、完璧超人はなかなか作れないみたいですね。
（グゥちゃん）でも、得意なことや不得意なことがあるから楽しいのかもしれないね！
グゥちゃんは悩んだ末、次のように能力値を割り振った。
STR 50 CON 50 SIZ 60 DEX 40
APP 60 INT 70 POW 50 EDU 80
ステップ2：副次的な属性
探索者の能力値が決まれば、いくつかの属性も定まる。その属性とは、ダメージ・ボーナス、ビルド、耐久力、移動率、正気度、マジック・ポイントである。そのほか、幸運の値を決定する必要がある。
（深キン）能力値を割り振ったら、このあたりは自動的に決まっていきそうですね。
（グゥちゃん）そうだね！ いろいろ書いてあるけど、やることはシンプルでわかりやすいや。
グゥちゃんはルールに沿って、探索者シートのそれぞれの属性を埋めていった。
（グゥちゃん）ダメージ・ボーナスとビルドは0か……。思ったより貧弱な探索者になっちゃった？
（深キン）その分、頭が良いですからね！ 機転を利かせて立ち向かっていきましょう！
ステップ3：職業と技能
職業
職業の選択は、探索者が取得できる技能の範囲に影響をもたらす。はじめに職業を選択する。『クイックスタート・ルール』では、以下にある職業表から1つを選んでそこに指定された技能の一覧を使うか、あるいは必要に応じて職業を自作することもできる。
（グゥちゃん）6ページに「探索者の職業のサンプル」が載ってるね！ どれどれ、銀行員は……ない……。
（深キン）本当ですね……。一応、必要に応じて職業を自作することもできると書いてますね。
（グゥちゃん）本当だ。「自作するには、まず職業を決め、それから探索者シートにある技能を確認する。次に、決めた探索者の職業にふさわしい8つの技能を選ぶ。例えば、この職業をしている人はどんな技能が必要なのだろうか？」
（深キン）銀行員にふさわしい技能ですね。技能ってどこから選ぶんでしょう？
（グゥちゃん）えっと……あった！ 11ページから「技能の説明」が書いてあるよ！
（深キン）本当だ！ ここから8つの技能を選びましょう！
（グゥちゃん）銀行員っぽい技能は……これだ！
グゥちゃんは銀行員にふさわしい技能として、言いくるめ、近接戦闘（格闘）、経理、心理学、説得、追跡、目星、そして……芸術／製作（ネジ）を選んだ。
（深キン）あー、経理とか説得とか、銀行員っぽいですね……あの、この〈近接戦闘（格闘）〉と〈芸術／製作（ネジ）〉っていうのは……？
（グゥちゃん）銀行員は時として腕っぷしが必要。それに、僕の探索者の父親は下町のネジ工場で働いてることにしようと思ってるんだ。
（深キン）なんだか、日曜ドラマでありそうな設定ですね。
（グゥちゃん）僕は銀行員について、日曜ドラマで勉強したんだ！
（深キン）まぁ、良しとしましょう！
技能
探索者シートの技能にポイントを割り当てる。8つの職業技能および〈信用〉技能に、次の数字を割り当てる。
技能1つに70％。技能2つに60％。技能3つに50％。同じく技能3つに40％。
（深キン）技能の中でも得意なものとそれほどでもないものがあるということですね。
（グゥちゃん）なるほど～。〈経理〉と〈芸術／製作（ネジ）〉が同じくらい得意だったら、なんか違和感あるもんね！
グゥちゃんは次のように職業技能を割り振った。
言いくるめ 60％、近接戦闘（格闘）40％、芸術／製作（ネジ）40％、経理 70％、信用 40％、心理学 50％、説得 50％、目星 50％
（深キン）うんうん、いい感じです！ 経理が高い銀行員は仕事ができそうなイメージです。
（グゥちゃん）腕っぷしの前にインテリジェンスさ！
（深キン）あと、職業技能以外に、「個人的な興味の技能」にもポイントを割り振れるみたいですね。職業技能以外の技能を4つ選んで、それぞれを20％増加させるって書いてます！
（グゥちゃん）なんだって！ まだこの探索者を強くできるんだ！
（深キン）個人の趣味的なものを割り振るとよさそうですね。グゥちゃんの探索者は休みの日にどんなことしてるんですか？
（グゥちゃん）休みの日……機械いじりとか、運動全般とかかなぁ。
グゥちゃんは悩んだ末、〈機械修理〉〈水泳〉〈電気修理〉〈登攀〉を20％増加させた。
（グゥちゃん）職業を決めて、技能ポイントを割り振ったら、何となく自分の探索者がどんなキャラクターなのか見えてきたよ！
（深キン）いよいよ大詰めですね！
ステップ4：バックストーリー
バックストーリーのそれぞれの項目（探索者シートの裏側にある）は、ごく短い簡潔な文章でよい。自分のキャラクターが他人にどう見られているかを考えながら、容姿の描写の項目を、短い文章で記入する。
記入する項目には「容姿の描写」「イデオロギー／信念」「重要な人々」「意味のある場所」「秘蔵の品」「特徴」などがある。
（深キン）これでグゥちゃんが作る探索者がどんな性格で、どんな風に行動するのかを固めていくみたいですね！
（グゥちゃん）ここまで結構考えながら作ってきたから、結構簡単に考えられそうだよ！
（深キン）この項目で、今回遊ぶシナリオ「赤い窓」の探索者作成にあたっての条件を明確にすれば良さそうですね。
（グゥちゃん）「会いたい人」だね！ まかせてよ！
グゥちゃんは次のようにバックストーリーを記入した。
容姿の描写：七三分け。ビシッとしたスーツを着ている。
イデオロギー／信念：弱い人に進んで手を差し伸べる。
重要な人々：亡くなったお父さん。ネジ工場を経営していた。
意味のある場所：――
秘蔵の品：お父さんが作った樹脂製のネジ
特徴：――
（グゥちゃん）深キンちゃん～、「意味のある場所」と「特徴」が思いつかないよ～～！
（深キン）あらら……。あっ、でも大丈夫みたいですよ！『クイックスタート・ルール』には「探索者シートの裏にある項目をすべて埋めようとして、頭を悩ませなくてもよい。2つか3つの項目だけでも、プレイするには十分だ。」って書いてます！
（グゥちゃん）ほんとだ！ じゃあ今回はこれでいいかな？
（深キン）大丈夫です！ では最後のステップへいきましょう！
ステップ5：最後の仕上げ
ここまでで、キャラクターはほぼ完成したといえる。探索者シートの表側に戻って、探索者の名前をはじめ、性別や年齢を書き込む。探索者シートの裏側には、その探索者が自分の職業上携行しているだろう標準的な装備品を書き込んでおく。
（グゥちゃん）よーし！ 最後に自分の探索者に命を吹き込むんだね！
（深キン）一気に愛着が湧いてきそうですね！
（グゥちゃん）へへっ、実は最初から名前は考えてたんだよね～。
グゥちゃんはニコニコしながら自分の探索者の名前、性別、年齢を書き込んだ。
（グゥちゃん）ここの四角い余白には探索者の似顔絵を描けるんだね！ 僕は絵が下手くそだから、恥ずかしいなぁ。
（深キン）私も下手くそですよ！ 気にせず描いちゃいましょう！
（グゥちゃん）……そうだね！ 自分の探索者にもっと愛着を持つために、頑張って描いてみるよ！
～20分後～
（グゥちゃん）できた！ 結構頑張ったなぁ～！
（深キン）探索者の雰囲気が伝わっていていいですね！ これでプレイの準備が整いました！
（グゥちゃん）初めてだからちゃんと作れるか不安だったけど、ステップを順番にこなしていったら何てことなかったね！
（深キン）今回は『クイックスタート・ルール』ですけど、『新クトゥルフ神話TRPG ルールブック』のほうでは、能力値をダイス・ロールで決定したり、資産などを計算したりもするみたいです！
（グゥちゃん）え～！ いいなぁ。次はルールブックのほうのルールを使って探索者を作ってみたいね！
（深キン）まだまだ楽しみはたくさんありますね！ じゃあ早速、プレイを始めていきますか！
（グゥちゃん）ちょっと待って！
（深キン）はい!?
（グゥちゃん）その前にトイレに行ってくるよ～。
（深キン）あ、そうですね！ 私も飲み物の補充をしなきゃ！
（グゥちゃん）お菓子も食べきっちゃった！
（深キン）ふふふ、大丈夫ですよ。お菓子はまだ棚にあります！
（グゥちゃん）やったー！ 万全の体制を整えて、プレイ開始だ！
～パート1完 パート2へ続く～