ルールブックアプリ化決定&ビブリオテーク13発売記念 「邪神総選挙2022」結果発表!

文:皐月野鷽、蓮見かるほ、七峰きざし/アーカム・メンバーズ
イラスト:Loïc Muzy

邪神総選挙――2週間にわたる大いなる夏の魔宴が幕を降ろした。
信者たちの汗と涙、そして己が信じる神への真っすぐな気持ち……彼らの熱い気持ちはわれわれの想像をはるかに上回るものだった。

ここに、最終結果を発表するときが来た。
票を集め、もっとも多くの信者を獲得したのはどの邪神か。その結末、果たして!

まずは第5位から!

◎第5位:アザトース


獲得票数1,700票! やはり混沌の中核は「格」が違った! 神々の総帥が第5位を獲得だ!


 TOP5の最初を飾るのは、宇宙の中心でまどろむ痴愚の神、アザトースだ。神々の総帥とされるだけあり、かなりの数の信者を抱えていたようだ。
 やはりその圧倒的な存在感に惹かれたという声が多かった。「召喚されたらすべてが終わる」という絶望的な共通認識が確立されており、まさに宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)を体現した存在であるといえるだろう。
 また、「宇宙の始まりから存在している」「この世界はアザトースの見ている夢である」などの非常にスケールが大きい設定に魅了されたというものも多かった。一方で「造物主でありながら知性がない」という、ほかの神話へのアンチテーゼのような設定に魅力を感じるという声もあった。

○信者たちからのコメント


やはり最強、盲目無知というギャップも相まって魔王の風格がたまりません。人間の信仰者も少なく、対面したら生きて帰れないどころか世界ごと破滅しかねないということもあり、存在をほのめかされることは多々あっても実際に対面できることは少ないので、対面できた時は胸が高鳴ります。まさに人間ではとうてい敵いもしない、圧倒的な存在であるということを実感させられる邪神だと思います。世界がアザトースの夢であるとする説も好きで、何か嫌なことがあった時は「まあこれアザトースの夢だし」と思うことで少し救われています。
(HN:みも)

『未知なるカダスを夢に求めて』で名前だけ登場したアザトース。自身がプレイヤーとして遊んだ、小学生探索者がドリームランドで冒険するシナリオにて、最後に立ちはだかったのがアザトースだった。アザトースが目覚めることを阻止しないと、すべてが終わってしまうのだ。ラヴクラフト作品の中でカダスが一番好きで、小学生ロールプレイも大好きだったので、本当に最高のシナリオだった。目覚めたら終わりなのだから当たり前なのだが、カダス同様アザトースは名前しか出てこない。それでも、この存在感と、圧倒的な無力感。強大な力の前に無力さを思い知って絶望するのもクトゥルフ神話TRPGで遊ぶ醍醐味の一つだと思っているので、最適な邪神だと思う。
(HN:外なる神の従者志望Y)

次は第4位!

◎第4位:ヨグ=ソトース


獲得票数1,708票! まさかの下剋上!? 副王が魔王を抑えて第4位にランクインだ!


 第4位に輝いたのは、鍵にして門、全にして一なるもの、ヨグ=ソトースだ。かなりの僅差ではあるが、魔王アザトースを上回る信者を獲得していた。
 時間と空間という概念に密接に関わる存在であり、サイエンス・フィクションじみた物語を生み出しやすい。特殊なギミックやトリックを内包したタイム・トラベルものなどがその例であり、印象に残っている者も多いようだ。
「玉虫色の球体の集塊」という、美麗かつ不気味な容姿も人気の秘訣であるようだ。
 また、化身であるタウィル・アト=ウムルに関するコメントも複数あり、探索者が直接対話したという経験により、この邪神を崇拝するようになった者もいるようだ。

○信者たちからのコメント


あまりにも巨大な、計り知れない純粋な力。そのつまさきの一端に触れるだけでもわれわれが信じているこの現実世界という脆弱なテクスチャーが一瞬で崩壊してしまう、そういったスケールの大きさが素敵です。
(HN:はやみねさくたろう)

時間と空間、すべて超越している。アザトース様より会いに行ける。だけどやっぱり超越していてかっこいいし、銀の鍵とかのアーティファクトも最高にかっこいいと思う。みんな瞬間移動とか大好きだろうし、憧れの力の一つだと思う。  何よりヨグ=ソトース様は高位なる邪神でありながらわれわれ人間とも交流できるスタイルをお持ちなところが親しみやすい。人間との間に子を成しているのも身近に感じられていい。ついでにその相手がいわゆるアルビノ女性だというのも個人的にポイントが高い。  あと神格としての本性も球体の集合体というある種の価値観を超越した様相でかっこいいし、動物や人間や植物などの造形にとらわれない、シンプルかつ普遍的な概念を踏襲しているのが素敵。球は人間の目から見ても切れ目なく終わりのない完全な形、それを体現しているヨグ=ソトース様はやはり時空の概念を超えたさらなる上位におわします最推し邪神だと思う。
(HN:寒薔薇)

次はいよいよTOP3!

●第3位:シュブ=ニグラス


獲得票数2,282票! 母は父よりも強し……! 第3位を獲得したのは、黒き豊穣の女神だ!


 千匹の仔を孕みし森の黒山羊、シュブ=ニグラスが第3位だ。夫とされることもあるヨグ=ソトースを抑えての上位ランクインとなった。
 信者たちからのコメントの中では、「豊穣の女神」という特性に由来して「母性を感じる」という内容のものが非常に多かった。彼女の母乳が特異な性質を持つことも、その評を助長しているのだろう。
 また、魔女、サバト、黒魔術、寒村での生け贄の儀式など、既存のオカルトとの高い親和性も魅力の一つであるようだ。それらの忌むべき崇拝の果てに、悍ましい姿をした黒い仔山羊あるいは彼女の本体が、うっそうとした森の奥から姿を現すのである。

○信者たちからのコメント


まずなにより母性。豊穣。ありがたいことです。お子さん(黒い仔山羊)共々おどろおどろしく、人々を恐怖させるのに大変お世話になっております。ヤギ、ミルクなど象徴的なアイテムが多いところもチャームポイントかと思います。大感謝の一票です。
(HN:ナタ)

シュブ=ニグラスは豊穣の女神です。その神性から、因習村の信仰対象及び祭事などの行事に現れることが多く、信者として非常に心躍る光景を目にすることができます。  また、かの神は母神と言われることもあるほど、その系譜や落し子が広く存在します。系譜の邪神がシナリオに出てくるたびに、背後にその存在を強く感じられ、より信仰が深まります。  かの神との出会いは、まだTRPGを始めたばかりの頃のことです。シナリオ上に豊穣の女神として現れ、その母性を存分に発揮していかれました。その頃から今に至るまで、そしてこれからもかの神を信仰していきます。イエ! イエ! シュブ=ニグラス!
(匿名)

次は惜しくもTOPを逃した第2位!

●第2位:ニャルラトテップ


獲得票数3,519票! まさにクトゥルフ神話界の「顔」! 千の仮面を持つ邪神が第2位を獲得だ!


 皆様おなじみ、這い寄る混沌ニャルラトテップが第2位を獲得した。第3位のシュブ=ニグラスに1,000票以上の大差をつけており、第1位とも僅差であった。
 一番多かった意見は「トリックスター」としての側面に引かれたというもの。神々のメッセンジャーでありながら、主である邪神たちでさえもあざけり、一方でわれわれ人類に対しても狡猾に接触を図ってくるさまは、「物語を展開する者」として申し分のない立ち回りだろう。
 また、さまざまな化身の姿を持ち、世界中のどこにいても不自然ではないという性質により、縦横無尽の大活躍を見せているようだ。シナリオやキーパーによって性質を大きく変えるニャルラトテップは、常に新たな驚きを与えてくれる存在だといえるだろう。

○信者たちからのコメント


ゲームで初めて会い、名乗られたときの恐怖は忘れることができません。経験を積んだプレイヤーは、人間体に出会っても「またか」と思うだけかもしれませんが、TRPG経験の少ないころ初めて会ったときは本当に異質で危険な何かと会話しているような気になりました(幸福なことに、今でもたまにそういうことがあり、たいていその時のセッションは非常にいい思い出となります)。
(HN:液体鳥)

初めて認知したのは去年の5月でした。『クトゥルフ神話TRPG』のリプレイ動画などにハマり邪神を調べていたところ、たまたま目に留まりました。今思えば運命だったと思います。  ニャルラトテップを通してエジプトにも興味を持ちました。エジプト展にも足を運びました。今はとても充実した日々を過ごしています。本当に幸せです。出会えて感謝そして崇拝。
(HN:オラ、ウータン)

圧倒的化身の数々、トリックスター、クトゥルフ神話と言ったら「私です」と出張るくらい有名である千の顔を持つ邪神様。特にそのお姿の中でも個人的にチクタクマンと赤の女王に崇拝の意を示しております。  自作で作成している『クトゥルフ神話TRPG』のシナリオに出すだけでは飽き足らず、素晴らしい容姿と性能からほかのシステムへもPCとして(あるいはエネミーやNPCの下地として)流用しているほどです。お慕いしております。  かっこよさで言うならばナイ牧師ですね。牧師としてふるまいながら、数々の狂信者へアドバイス、メッセージを伝え、数々の混沌や恐怖をもたらし続ける存在。やりたい放題、好き放題という言葉がとても似合います。それでいて顔も良いのですから、崇拝せずにはいられないというものです。
(HN:小人白夜)

 いよいよ第1位の発表です!

●第1位:ハスター(黄衣の王、ハスターの化身を含む)


獲得票数3,570票! 栄えある第1位! 「玉座」についたのは、黄衣をまとったカルコサの王だ!


 堂々の第1位に君臨したのは、名状し難きもの、黄衣の王ハスターだ。第2位のニャルラトテップとは大接戦であったが、最後に競り勝った。
 寄せられたコメントの中では、「自分を崇拝する人間に対しては寛容である」という側面に惹かれたという意見が複数寄せられていた。確かに、ハスターは自分の友人や崇拝者を襲うことはないとされている。さらに、黄金の蜂蜜酒や乗り物としてのビヤーキーなど、ハスターから与えられる対価にも個性的なものが多いため、印象に残りやすいのだろう。ハスターのカルトが数多く存在するというのも納得だ。
 また、化身である黄衣の王へのコメントも多数あり、そのミステリアスな容姿や、戯曲をはじめとする芸術作品との親和性が大きな魅力となっているようだ。

!ここで、緊急告知!

第1位となったハスターは、クトゥルフ神話TRPGルールブックアプリの宣伝大使ならぬ、宣伝邪神を任命することとなった!いあ いあ!
今後の活動についてはTwitterや公式サイトで報告するので、しばし待たれよ。


  • 書影:クトゥルフ神話TRPG シナリオ集 アカシック13

    クトゥルフ神話TRPG シナリオ集 アカシック13

    2018年03月31日

  • 書影:クトゥルフ神話TRPG クトゥルフカルト・ナウ

    クトゥルフ神話TRPG クトゥルフカルト・ナウ

    2013年02月28日

 ハスターはシナリオ集「アカシック13」ソースブック「クトゥルフカルト・ナウ」で表紙を飾っている。この機会に要チェックだ!

○信者たちからのコメント


ハスター様との出会いは、牡牛座アルデバラン近くの星で眠っているという説明を読んだ時でした。自分の誕生星座という点に引かれ、いろいろと調べてみました。その中で、人間を狂気に堕とす強大な力を持つ邪神であり旧支配者である面、一方で、羊飼いの神としての穏やかな面を持っていることや、稀に信者の人間の助けとなるという面を知り、そのギャップに堕とされ信仰を決意しました。 現在通過中のシナリオでも存在が明かされており、信者は大変ワクワクドキドキしています。魅力を表現する語彙が少なく悔しいですが、今後とも真摯に信仰し続けていきたいと思います。
(HN:たったった)

ハスター様は素晴らしい。黄色の印や異星の都市カルコサ、神秘的なハリ湖。外見もまさに「名状し難きもの」と呼ばれるように定まっておらず宇宙的恐怖を現している。  特に黄衣の王は黄色いローブに白い仮面、擬足状のローブから発せられるかみそりの様な鋭い攻撃、そして人々を狂気に至らしめる戯曲……設定・見た目共に恐ろしくも心をくすぐられるような、トップレベルでかっこいい化身だと思います。
(HN:雨後晴)

音楽と演劇をやっていた身としては、ハスターさん(黄衣の王)は欠かせません。いつか自分が巻き込まれる、あるいは巻き込む事象として、「『黄衣の王』の上演」がとても身近に感じられるのです。いつか自分を含む誰かが『黄衣の王』を見つけて、夢を見て、上演に躍起になって……と、「もしもの世界」がそれなりのリアリティを持って想像されるのです。この辺りを上手く落とし込んだシナリオを書いてみようと、ルールブックやマレウス・モンストロルムを読み込んでいる最中なのもあって、ハスターさんを推しています。  また、四大元素で「風」に分類されるところも推しポイントです。私自身の太陽星座が風に分類されるので、不敬とは思いつつも親近感が湧いてしまうのです。
(HN:セオ)

◎全体ランキング

全順位は次のとおり!
クトゥルフ様あと一歩でTOP5を逃す!!



邪神総選挙2022(ハッシュタグ #邪神総選挙2022)
投票所:邪神総選挙2022(https://product.kadokawa.co.jp/cthulhu/play/entry-392890.html)(※現在は募集締切済)
投票期間:2022年8月1日 ~ 2022年8月14日 23:59(2週間)
総投票者数:7,612名
有効票数:22,096票(1名あたり最大3票まで)

◎上位邪神以外へのコメント紹介

今回は惜しくも上位を逃した邪神たちにも、信者たちからの熱い応援コメントがよせられていた! ここではその一部を紹介していこう。


●クトゥルフ

夢で持って芸術家など感受性豊かな人たちにコンタクトをとるところが好きです。  死せるクトゥルフがルルイエの街で夢見ながら待っている。ラヴクラフトの小説を読んだ時、この訳文が胸に刺さりました。ロマンチックな邪神だと思います。
(HN:cielofiore4444)

●クトゥグァ

さまざまなシナリオでお世話になりました! 燃え盛る街を走り回ったり、大爆発を背にロボットに乗ったり、逆に自分が燃え上がったり、ほかにもいろんな場所で爆裂ファイヤーをかましてくれるクトゥグァはTRPGに心地よいスリルと緊張感を与えてくれます! 明るく激しく元気よくお手軽に死を味わえる大好きな神格です!
(HN:君のお墓)

●イゴーロナク

とあるシナリオで自分の探索者が悪行を働いた報いとしてイゴーロナクに憑依されたとき、人間が異形と化してしまう恐怖と興奮に震えました。悪行の権化とでも言うべき醜悪な姿に、憑依されるまでの過程を踏まえるとむしろ精神性の具現化、完成された美しさすら感じました。  その後もシナリオ中でイゴーロナクに出会うたびに、自分の探索者に憑依してくれないかという強い願望を抱き続けています。
(HN:桃乃亥タオ)

●ノーデンス

まず最初にノーデンス様へこの票をささげます!  私がかのお方を信仰し始めたのは、あるシナリオでかのお方に助けて頂いたことがゆえんです。お恥ずかしながら、それまでよく神々のことを知らず、私はノーデンス様に出会って初めて人間に友好的な神がいるということを知りました。そこからは鳥の雛が親を認識する様なあっけなさでのめり込み、今ではノーデンス様が人間を助けたのち、その人間がどうなろうとさして気にしていないことも含めて崇拝しております。  多分ノーデンス様は、それが人間でなくとも、ニャルラトテップたちにとって嫌なことであれば救済なさるのだろうと思っておりまして、そういう人間の大部分のことはどうでも良いが、結果としてわれわれを助けてくださるかの御神のふるまいが大変好きだ、と思っております。
(HN:半魚老)

●アイホート

初めて知ったクトゥルフ神話の神様はアイホート様でした。1対1で追い詰められるなんて矮小な人間ごときじゃかなわけもない理不尽さも、雛を身体に植え付けられるとかいうおぞましさも、ほかの神格にはない気味の悪さでステキです!  ほかの神様は人を人と認識しないまま虫けらを踏み潰すように殺してくるようなイメージがありますが、アイホート様は一個人を雛という集団+適うはずのない本体という数と力の暴力で押してきます。逃げられるわけないですよね。目をつけられただけで絶望しすべてを諦めるレベルの理不尽さ、最高だと思います。  あのフォルムもいいですよね。デフォルメされた姿はもちもちでとっても可愛らしいのに、本来のお姿に近くなればなるほど神格ふさわに気持ちが悪いです! 白い体に無数の目というだけで最強クラスに気持ち悪いのに、その上クモのような体つきだなんて、私ならチラと見ただけで狂気に落ちちゃいます。そんなアイホート様こそクトゥルフ神話というコズミック・ホラーにふさわしい、最高におぞましい神様なのではないでしょうか!
(HN:ヨリ)

●ダオロス

遊び始めたばかりの頃、『クトゥルフ神話TRPG』ってこんなに楽しいんだ! とびっくりしたシナリオでお会いしたのがダオロス様でした。それからいくつものシナリオを遊ばせて頂きましたが、思い出深いシナリオを遊ぶ時によくお会いするので、ダオロス様は幸せを約束してくれるお方だと思っています。神秘的で美しいお姿が人間には捉えきれないのも納得です。
(HN:セビーリャ在住の狂信者)

●ツァトゥグァ

初めて目にした時の愛らしい特徴と気質に引かれて信仰するようになりました。初めて自作したシナリオにも登場していただいたため思い入れも強いです。  空腹でなければ人に害を為さない点も好きですが、人を補食する際はかなり恐ろしい手法で仕留めにかかるところも畏怖を感じてますます好きになります。これからも推していきます!
(HN:噛田チーズ)

●イグ

やはりなんと言っても蛇神というところ。日本という国において蛇神は極めてポピュラーであり、土着信仰との親和性が抜群。  諸々の事情でソースブック『比叡山炎上』では別人(別神?)扱いされたが、大物主大神とは類似点が多すぎてもう同一視せざるをえない(蛇神、海の向こうから渡来、祟る神、信者には優しい、お酒好き)。原作においても、ほかの神格がキリスト教世界観へのアンチテーゼ的存在として描かれるのに対し、土着信仰で崇められる異神として描かれており、子供を殺されて怒ったりするなど、明らかにほかの神格より情緒が感じられ、より人間に親しい存在のように思える。正直、生物としてはクトゥルフなどの本質的上位者には一歩劣るものの、人類からの信仰を受ける面でははるかに強い力を得ていてもおかしくはないと個人的には考えている。
(HN:ド○エモン)

●イタクァ

山と旅の漂泊に憧れる気持ちが信仰の目覚めにつながりました。どこにも居たくない、でもなにかとつながっていたい、そんな現代人が信仰して最も幸福を得られる存在がこの一柱です。われらの願いが届くとき、大いなる風が、永遠の旅路、なにもいらない、そんな境地につれていってくださいます。
(HN:旅に憧れる者)

●ガタノソア

石化という比類なき力を持つその異様に自分は惚れ込みました。クトゥルフの血縁という点も魅力的ですが、対峙した時の絶望感はそれを超えるものがあると信望しています。ゲーム内で時々その末端に触れられるのですがその度に探索者から宗旨替えしようか密かに悩むほどです。
(HN:ガイ)

◎残念賞の邪神たち

数多の信者に囲まれ、その威光を広く知らしめることができた邪神たちがいる一方、残念ながらあまり芳しくない結果に終わってしまった邪神たちもいる。
 しかし、侮るなかれ。信者の数で劣るとしても、やはり邪神は邪神。一度見たら忘れられない印象的な容姿や、個性的な能力を持つものたちがそろっている。
 ここでは、そんな知られざる邪神たちの魅力を紹介していこう。願わくば、新たな信仰への道標とならんことを……。

●トゥールスチャ  
 トゥールスチャは生きているようにうごめく緑色の炎だ。アザトースの宮廷でかの眠れる神をなぐさめる踊り手であり、死と腐敗と衰退を栄養に燃え盛る。この忌まわしき緑色の炎は、人にとりつくと彼らの両目を焼き自身の操り人形にしてしまう。ほかにも、自身を信仰するカルティストには死体から知識を得る方法を授けるという。地上では招来された場所から動けないという特性のためか、シナリオに登場する機会はあまりない。しかし、火柱だけでなく球体や動物に似た姿、果ては人型で出現する可能性もあるという。邪神の創造性は常に人間のイマジネーションを凌駕するのだ。

●ラーン=テゴス

 ラーン=テゴスは本当の力を発揮していない。かの神はまだ冬眠状態にあるのだ。血のいけにえをささげ、神が力を取り戻すさまを見ていただきたいものだ。石像だと思っていたものが動き出すその姿を……。高位の信者になれば、ラーン=テゴスから吸血能力を授かる可能性がある。傷は癒され、寿命は延び、若かりし頃の肉体を取り戻せるかもしれない!かの神はシナリオにも登場させやすいといえる。博物館にはラーン=テゴスが展示されているかもしれないし、吸血鬼事件の裏ではかの神が糸を引いているかもしれないのだ。

●イブ=ツトゥル

 ドリームランドはクレドの密林にて、この世界全体を見通しながら、永久に回転を続けている邪神がいる。それこそがイブ=ツトゥルだ。漆黒のマントの下にはいくつもの乳房があり、そこには無数の夜鬼が群がっている。この神に触れられると「激烈な喪失」が起こるという。それはいずれかの能力値の喪失であったり、精神への変調であったりする。時に益になるような変化が与えられることもあるようで、それを目当てに接触を図るものもいるとか。  設定的にシナリオには少々出しにくいかもしれないが、機会があればその絶望的な能力をぜひ体験していただきたい。

◎総選挙総括

 結果発表は以上だ。繰り返しになるが、想定をはるかに上回る票数・コメントが集まり、プレイヤーから邪神への「思い入れの強さ」を感じ取ることのできる結果となった。投票に参加してくれた信者諸氏には心から感謝したい。
 また、人によっては今回の募集・結果発表ページを見て、初めて存在を知った邪神もいるかもしれない。『クトゥルフ神話TRPG』の邪神はどれも独特な魅力にあふれている。新たな邪神との出会いを求めて、さまざまな物語に挑んでいただければ幸いである。
 それでは、今後とも崇拝の念を絶やさぬように。いあ! いあ! はすたぁ!

~終~