(7)イタクァ


風に乗りて歩む大いなるもの

分厚い雲が空を覆い隠し、激しい吹雪が視界を奪う。そのような荒天の中で「2つの赤い星」が目撃されることがあるのだという。
しかし、それは道しるべとなる星ではなく、恐るべき凶兆にほかならない。燃えるような瞳を持つイタクァは、猛吹雪をまとって現れる。そして、不幸な犠牲者を上空へ連れ去ると、数週間にわたる「旅」へといざなうのである。旅の結末は墜落死か、あるいは奇怪な変異である。少なくとも、旅立つ以前の生活にはもう戻れない。