(6)イゴーロナク


両手の口で嘲り、悪徳と倒錯を運ぶもの

「悪意」を持たない人間は存在しない。「私は完全なる善人だ」などと豪語するものがいたとすれば、それはペテン師か狂人かのどちらかだろう。そんな人間の邪悪な心に巣食うのがイゴーロナクだ。
かの神は魔道書『グラーキの黙示録』を1ページでも読んだことがある人間のもとに現れる。そして、その精神にとりつき吸収してしまうのである。犠牲者は薄れゆく意識の中で、自身の両の手のひらに赤々とした口が開かれていくさまを目撃することだろう。