(3)アブホース


大いなる源、灰色の海

地下世界に広がる灰色の海。それだけを聞くと、どことなく幻想的な風景を思い浮かべるかもしれない。
しかし、その海が不潔に泡立ち、灰色の塊から不格好な落とし子が無数に生み出されているとなれば、話は変わってくるだろう。しかも、逃げ惑う落とし子たちを海から伸びる触手が捕らえ、再び自らの体へとのみ込んでしまうのである。自身を一個の生命体として存続させたいのならば、その触手には決して触れられぬよう用心することだ。