(2)アザトース


宇宙の中心でまどろむ痴愚の神

単調なフルートの音が聞こえる。その音に合わせて不定形の体をくねらせながら、魔王アザトースは冒涜的な言辞を吐き散らしている。
その知性なき言辞を理解しようとは思わないことだ。どれだけ危険な思想を持った魔術師であっても、アザトースの声に耳を傾け、それを理解しようとする愚か者はいない。魔王の意向を理解し、その欲求を満たせるものはこの世で唯一、神々のメッセンジャーたるニャルラトテップだけなのであろう。