キーパーとは?探索者とは?
文:瀬戸エイジ+坂本雅之/アーカム・メンバーズイラスト:海野なまこ
『クトゥルフ神話TRPG』は多くの場合、複数名のプレイヤーで遊びます。そのうち1人がゲームの進行役を務めます。この進行役のことを"クトゥルフ神話TRPG"では「キーパー」と呼びます(ほかのTRPGでは「ゲームマスター」とか「ダンジョン・マスター」などと呼ぶこともあります)。
キーパーはゲームの審判であり、舞台監督でもあり、演出家でもあり……とにかく、みんなで楽しい時間を過ごす舞台を整える役割です。
ほかのプレイヤーは「探索者」の役割を演じます。探索者とは、物語の登場人物であり謎と恐怖に立ち向かうキャラクターのことで、危険に気づきつつもクトゥルフ神話の秘密に迫ろうとする勇敢な人間です。ホラー映画でいえば、おびえて逃げ惑う人々ではなく、恐怖の根源に立ち向かう主人公です。
プレイヤーはキーパーの言葉を聞き、その状況で自身が担当する探索者がどのような行動をするかを考え、それをキーパーに伝えます。探索者の気持ちになってそれを演じるのもTRPGの楽しみの1つです(俳優のような演技を求められているわけではありませんので安心してください)。
キーパーはさまざまな試練をプレイヤーに与え、プレイヤーはそれに挑みますが、これは競争や知恵比べではありません。TRPGに勝敗はなく、"クトゥルフ神話TRPG"をプレイする目的は、協力して一つの物語を創り上げ、全員が楽しい時間を過ごせるようにすることなのです。
【あるゲーム・プレイの風景】
キーパー:
さて、君たちはこの恐ろしい館に到着した。周囲にはほかの家なんて1つもない、さみしい場所だ。ここからどうしたい?
探索者①:正面から入るのは危険だな。まずは周辺を探って、裏口がないかを確かめたいな。
キーパー:なるほど、では家の裏手に勝手口があるのを見つけるよ。
探索者②:ナイス! じゃあここから入ろうと考えて、扉に手をかけます。
キーパー:ガチャ。残念ながら、この扉には鍵がかけられている。これを開くためには……